最近読んだ本

「地獄の読書録」小林信彦(集英社文庫
すごい試みだ。何せ、その月に刊行された翻訳ミステリを全て評しよう、というのだから。
もちろん書かれた当時は今と比べれば、刊行点数は少ない、というのもあるけど。
今この試みをやるというのは不可能に近い。「クラシックに目を向けると今月も論創の頑張りが目立つ」という記述が毎月のように書かれるのだろうか。
とにかくこの本を読んでいると、「本は読むものだ」という思いが湧いてくる。「読まなくては、増え続ける本を読まなくては」という決意が起こるのだ。そういう意味で、この本は活字好きにとっての「元気むくむく本」(昔、本の雑誌でこういう企画があった気が)となると思う。


「レスターリースの冒険」「レスターリースの新冒険」E・S・ガードナー(ハヤカワミステリ文庫)
どうも、楽しく読めなかったのは、何でだろうか?良くも悪くも軽いんだよねー。
でも恐らく楽しめなかった原因は作者でなく、何となくだが僕にあるような気もする。
まあ波長が合わない、ということは本を読んでいて良くあることでしょう?


「ロックンロール七部作」古川日出男
あーおもしろい。というより、かっこいい。
ベルカでやられてしまったので、衝撃は前回よりも少ないが、それは無いものねだりのようなものです。
しばらくこういう「かっこよろしい路線」で行くのだろうか?
「アラビアの夜の種族」のような作品も読みたいなあ。


「細い赤い糸」飛鳥高講談社文庫)
やっぱミッシングリンク物って動機の面白さに重点が置かれるよね。
被害者を繋ぐ線(すなわち動機)が面白い、という意味でこの作品は高評価。


「動物好きにささげる殺人読本」パトリシア・ハイスミス創元推理文庫
世に恐ろしきは動物と子供である。何故なら彼らには、大人の常識が通用しないから。
動物の恐ろしさという点で「松露狩りシーズンの終わりに」、子供の恐ろしさという点で「ハムスター対ウェブスター」を挙げたい。
巻末の対談を読んで思ったのだけど当時、小山正って22歳なのね。22歳でこんなに濃いって怖いくらいなんですけど。